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旅立ちの島唄 青さん、いってこいよ

2013年8月1日、対日本ハム14回戦の6回裏2死一、二塁、プロ初安打となる左越え適時二塁打を放つ青松選手
Photo By スポニチ

 【長久保豊の撮ってもいい?話】「いってこいよ」がせつせつと、「いってくるね」がひしひしと島風に乗って流れてくる。2月、ロッテがキャンプを張る石垣島で行われた日本一早い春フェス。トリを飾った比嘉栄昇(BEGIN)さんは「この時期だから」と前置きしてアンコールのラスト曲に「春にゴンドラ」を選んだ。

 映画「旅立ちの島唄〜十五の春〜」のために作られたこの曲は、離島の子供たちの少し早すぎる巣立ちの風景を通して、子を思う親の愛情、親を思う子の心情を描く。旅立つ男を見送ったばかりの私にはあまりに切ない歌であり、フェス会場で手にした泡盛だけでは足りなくて夜の酒場をさまようことになった。

 その数日前の石垣市中央運動公園。たくましく鍛え上げた体をスーツに包んだ男は「お世話になりました」と言って笑顔で名刺を差し出した。肩書は大手生保会社の「ライフプランナー」。

 「そうなんだ。青さん、辞めちゃうんだ」

 球団関係者へ引退のあいさつに訪れた彼に掛けるとしては間の抜けた言葉だ。彼の決断は耳にしていたが「お疲れさまでした」の言葉が出なかった。

 青松慶侑さん。打席での立ち姿が美しかった人。昨年は一軍でのキャンプをスタートさせ順調にアピールを続けていたが第2クール最終日に左脇腹を痛め離脱。12年、プロの飯を食った選手には失礼な話だがあと少しの運をつかめなかった。入籍したばかりのあやの夫人とのツーショット写真を撮らせてもらったのも2014年の石垣島だった。

 04年ドラフトの高卒ルーキー。同一球団を長く担当すると18歳でプロの世界に飛び込んでくる彼らへの思い入れは強くなる。植樹されたばかりの桜のようにひょろひょろと頼りなげな幹。それでも懸命に花を咲かそうとするのを、まだ早いとたしなめながら幹の成長を待つ。3年かかるか、4年待つか。

 彼は初安打まで9年かかった。2013年8月の日本ハム戦。代打で登場し、思い切り振り抜き、あっという間に左翼フェンスを叩いた打球の速さに彼の9年、その瞬間を待ち辛抱していた者の9年を理解した。

 あの打球を知っているから「お疲れさまでした」の言葉が出なかった。どこのユニホームでもいいからまだ見ていたかったと…。

 春、4月。満開の桜の下を着慣れぬスーツ姿の新社会人が行き交う。一足お先にスーツを着た青さんも企業人ルーキーイヤー。彼は昨年12月に自身のブログでファンに感謝と別れを告げた後に「それでは行ってきまーす!」とセカンドキャリアへの旅立ちを宣言していた。

 12年のプロ野球人としての幹があるからきっといい花が咲く。今は彼の決断を信じ応援したい。

 「いってこいよ」(編集委員)

 ◆長久保 豊(ながくぼ・ゆたか)1962年2月生まれ。ずいぶん長いことロッテ担当。今年こそZOZOマリンで伊東監督の胴上げを撮影したいと思う55歳。

[ 2017年4月1日 08:00 ]

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