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山中慎介の左拳 宿る神は1つじゃない

7R、最初のダウンを奪った山中の左パンチ。左足先が正面に向かってねじ込まれたときにシャッターを切るイメージ(上)。相手がガードを固める間を与えずクリーンヒット(下)
Photo By スポニチ

 【長久保豊の撮ってもいい?話】この人は本当にボクシングが、山中慎介が、好きなんだなと思った。帝拳ジム・大和心トレーナー。山中が勝利した直後に肩車で担ぎ上げる人(電波少年でアンコールワットへの道を舗装していた人でもある)と言った方がお茶の間にはわかりやすいかもしれない。王者が挑戦者カルロス・カールソンを7R、TKOで下した3月2日の翌日、会見する山中の隣にはいつものように温和な顔の大和の姿があった。

 「神の左ってどうして当たるんですか?」。失礼を承知で大和に聞いた。

 どうして?と聞いたのは挑戦者たちにとって山中の左は一番警戒しているパンチで対策も練ってきているはず。それがなぜ、顔面の真ん中でまともに食らってしまうのか。テレビ中継のスロー再生で見直せば金縛り状態でパンチを受けてしまっているようにも見える。 実はスタンド後方、リングを俯瞰する位置で撮影する場合、神の左は見やすく、撮りやすいパンチだ。コツは上体の動きは無視して左足先の動きだけを見ること。ジャブを打つ際には後ろに引かれ、相手に対し90度の角度で外側に向けられていた足先が、親指の付け根あたりを中心に正面にねじ込まれるような動きを見せたときが神の左の始動。この動作はワン・ツーパンチのごく普通の動作だが、王者の蹴り足は強烈で一番わかりやすいシャッターのタイミング。リングを蹴った足の力が伝搬され、拳に神が宿る瞬間が撮れる(と、偉そうに言うが成功率はせいぜい4割程度)。

 「みんなそう(よけられると)思ってリングに上がるのでしょう。山中の凄さ、怖さは向かい合って初めてわかりますよ」

 パンチが伸びてくるってことですか?

 「それもあります。でも…」。大和は温和な顔を崩さず丁寧に話を続けた。

 「とにかく左を出すタイミングがわからない。ガードを突き破っているように見えるでしょ。あれは全然、ガードが間に合ってないということ。ボクは毎日、ミットで彼のパンチを受けている。それでもわからないんだから」

 変幻自在に変える右ジャブから左ストレートのワンとツーの間隔、遠い間合いから一瞬にして射程圏に入る脚、視線の動きも含めたフェイント。左拳に宿る神はあまりに多彩でリングサイドに陣取るカメラマンからはシャッターのタイミングが取れず、お手上げの声も聞こえる。俯瞰するスタンドの撮影位置やテレビ中継とは見え方が違うということか。

 「ミットで受けるのも本当に怖いんです」。よき兄貴分として山中を支え続ける大和の言葉は王者へのリスペクトが止まらず、そして楽しそうだ。

 そういえば17年前、後楽園ホールでOPBFのタイトルを獲得、同じ笑顔をしていたことを思い出す。

 山中慎介はこの人に出会えて本当によかった。まだまだ行ける。(編集委員、敬称略)

 ◆長久保 豊(ながくぼ・ゆたか)1962年生まれ。ボクシングでは腰痛持ちを理由にリングサイドではなく、スタンドから撮影するカメラマン(チキン野郎とも言われています)。撮影で苦手だったのは勇利アルバチャコフ。クリーンヒット1発も撮れず。

[ 2017年3月8日 04:42 ]

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